もくじ
パチュリ精油の特徴まとめ
精油の特徴
- 習字の墨汁にも使われる、どっしりと静かな香り
- 葉を発酵させてから蒸留するという特徴がある
- 精油が「熟成」する。熟成が進むとバラのような良い香りがする場合もある。
主な効果
- 高ぶった神経を抑え、地に足をつける
- 精神的に疲れているときに、頑張る気力をそっと与えてくれる
- 高い保湿力・収れん作用でスキンケアにも良い
詳説:パチュリの植物情報
名前 | パチュリ パチューリと書くことも。 |
学名 | Pogostemon cablin |
科名 | シソ科 |
おもな産地 | インド、スリランカ、ミャンマー、マレーシア、フィリピン、スマトラ、ジャワ、セーシェル、アメリカ、パラグアイ、ブラジルなど |
植物の特徴
墨やお香の香りづけに使用する植物。精油も墨汁のような深く静かな香りがします。その香りには防虫作用があり、インドでは虫よけとして広く用いられています。
インド原産の多年草で、60~90cmほどの草丈に育ちます。日当たりがよい肥沃な土地を好み、花はあまり咲きませんが冬に白い花を咲かせます。
植物のストーリー
パチュリは、インドのタミール語で緑の葉を意味します。インドでは古くからその高い防虫作用が暮らしに活用されてきました。18世紀のシルクロード交易では高価な織物やショールに防虫剤として使われ、パチュリの香りはインド産の証しでした。また、19世紀のビクトリア朝時代のカシミア交易の際でも同様に使われていました。
マレーシアやインド、中国などでは、虫刺されや蛇にかまれたときの解毒剤としても使用していました。
ヨーロッパでは豪華な香りとイメージされ、インドのエキゾチックな文化や思想を象徴する香りでもありました。1960年代にはヒッピーの間で大変人気になり「フラワーチルドレンの香り」と呼ばれました。
詳説:パチュリの精油情報
抽出方法 | 水蒸気蒸留法 |
抽出部位 | 全草 |
精油の色 | オレンジ~濃い琥珀色 |
香りの強さ | 中〜強 |
ノート(揮発度) | ミドルノート |
香りの系統 | オリエンタル系 |
キーワード | 生命力、安定感、重心がさがる、喜びや幸福感、官能的バランス、中心に落ち着く |
精油の特徴精油のストーリー
パチュリの精油は、ワインのように葉を乾燥発酵させてから蒸留するという、他の精油にはない特殊な方法をとります。
この特殊な製法で作られる精油は、時間とともに熟成して品質が向上し、やがてローズにも似た芳醇な香りをかもし出したり、時間が経つごとにいっそう香りが強くなったりします。多くの精油は時間が立つほどに酸化・劣化してしまうので、熟成するというのもパチュリの大きな特徴の一つです。
香りの特徴
優しさ、包み込む感じ感性が研ぎすまされる神聖な感じがする、とても静かで熟成されたような雰囲気の香りです。その香りは複雑で、甘さ、あたたかさ、スパイシーさ、土っぽさ、スモーキーさなど、多種多様な印象を併せ持っています。全体としてはどっしりとした重く静かな印象の香りで、熟成した土の香りがゆったりと下へおりて、重心がさがって安定するような印象を持ちます。
また、ほのかに官能的なイメージもあり、身体がじんわり暖かくなります。
おすすめの利用シーン
パチュリの精油は、心と身体を大地に根づかせる(グラウンディング)ような印象を与え、落ち着いて現実を客観的に見るサポートをしてくれます。また、感覚を目覚めさせ、生きるための本能や欲求を呼び覚ます作用もあります。
考えるより先に行動してしまったり、落ち着きをなくしてしまったり、エネルギーを使いはたして燃え尽きてしまったりする人に対して、心をどっしりと落ち着け、力を呼び戻すような効果が期待できます。地に足がついていないと感じる時や、自分の中に落ち着きやバランスを取りもどしたい時などに、芳香浴、アロマバスなどで使ってみましょう。
またスキンケアや循環障害にも有効です。
乾燥肌や肌の老化が気になる人は、フランキンセンス、ローズ、メリッサ、サンダルウッドなどと一緒にクリームやローションにして使うとよいでしょう。高い保湿、収れん効果で肌を柔らかく滑らかに整えます。また湿疹や吹き出物にも有効です。静脈瘤やむくみの緩和を期待したいなら、レモン、レモングラス、グレープフルーツ、ローズマリーなどとブレンドして使うとよいでしょう。
主な成分・作用
シトロネロール、ゲラニオール、リナロール、ギ酸シトロネリル、ギ酸ゲラニル、イソメントン
抗うつ、抗炎症、抗菌、弛緩、収れん、鎮痙、鎮静、皮膚弾力回復、ホルモン様作用
相性の良い精油
シトラス、フローラル、レジン、ハーバル、ウッディ、スパイス系の精油と幅広く調和します。
クラリセージ、グレープフルーツ、サイプレス、サンダルウッド、シダーウッド、シトロネラ、ジャスミン、ジュニパーベリー、ネロリ、ベルガモット、ラベンダーなどと好相性です。
特に甘い花の香りと好相性で、墨や濡れた土のような重い香りがブレンドに深みと落ち着きをあたえてくれます。
個性的な香りなので、慣れないと不快と感じる場合もあるかもしれません。特にアロマにあまり慣れていない方に使いたいときは軽く香りを確かめてもらい、少量ずつ使用しましょう。
使用上の注意・効能
使用上の注意点
- 敏感肌への刺激作用があるので、少量から使用すること
- 妊娠初期・分娩前後の使用は控える
- 妊娠後期、授乳期間中は半分の濃度で使用すること
心への作用
- 気持ちをおだやかにし、情緒を安定させる
- 客観的な視点を与え、意識をクリアにする
- 判断力を高める
- 現実をしっかりと見据える
- 無気力な状態に気力を与える
体への作用
- 利尿作用
- 瘢痕や創傷の回復
- 殺菌作用、防虫作用
- ダイエットに
- 食欲の抑制
- セルライトの改善
- 筋肉痛、腰痛を改善する
- 催淫作用を促す。
肌への作用
- 収斂作用
- 皮膚再生作用
- あかぎれや湿疹の修復を促す
- 殺菌作用
- 抗炎症作用