もくじ
メリッサの歴史・くらしとの関わり
不老不死の万能薬
2000年以上前から、ギリシャでその薬効が知られていました。特に精神や脳、心臓への鎮静作用が有名で、スイスの医師パラケルススはメリッサを「生命のエリクシール(万能薬・不老不死の薬)」と呼び讃えたといわれています。神経の緊張と消耗、どちらにも働くとされ、古くから幅広く用いられてきました。
また、11世紀ごろの医師で、精油の定番の抽出方法である水蒸気蒸留法を開発したイブン=シーナは、レモンバームのことを「黒胆汁からくる憂うつを一掃する」と書いています。
この他、中世では錬金術で重用されていました。
名前の由来は「ミツバチ」
メリッサという名前はギリシャ語でミツバチという意味です。ミツバチはメリッサの花をよく好むため、この名がつけられたという説があります。
メリッサ精油の特徴
希少で高価。混ぜものに注意。
メリッサは栽培は簡単でよく育つ植物ですが、精油含有率がとても低く、5トンの葉から1リットルの精油しか抽出できません。また開花後は香りが変わるため、開花直前に抽出したものが香りの濃度が高いものとなります。
安価なメリッサ精油やメリッサの名前がついた製品は、似た香りのレモングラス、シトロネラなどが使用されていることがあるので注意が必要です。純正の精油「真正メリッサ」「メリッサ・トゥルー」のほか、レモングラスなどをブレンドした「メリッサ・ブレンド」も出回っています。
ブレンドした精油=悪ではないので、状況に応じて使い分けましょう。
メリッサ=レモンバーム。ハーブティーとしても親しまれている。
メリッサは、草丈70cmほどの多年草です。ビーバームやバームミントなどの別名を持つほか、「レモンバーム」としても有名です。聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
花と葉は精油のほか、ポプリ、ビネガーの香りづけ、ハーブティーとしても使われます。
メリッサ精油の基本情報
精油データ
名前 | メリッサ |
学名 | Melissa officinalis |
科名 | シソ科 |
おもな産地 | フランス、ドイツ、イタリア、アイルランド、イギリス、エジプト、スペイン、地中海地方 |
抽出方法 | 水蒸気蒸留法 |
抽出部位 | 葉と花 |
精油の色 | 淡黄色 |
香りの系統 | ハーブ系 |
ノート(揮発度) | ミドルノート |
香りの強さ | 中~強 |
香りの特徴・ブレンド相性
香りの特徴
フルーティーで甘みのある香りです。オレンジスイートより落ち着きがありデリケートな香りです。
よく知られている香りなので、一部のハーブ系精油など、作用は必要なのに香りが苦手で扱いにくい精油にブレンドエンハンサーとして使用すると、使いやすいブレンドになります。
相性の良い精油
シシトラス、フローラル、レジン、ハーバルウッディ、スパイス系の精油と調和します。ほとんどすべての精油と相性が良いです。
特にイランイラン、カモミール、ジャスミン、ゼラニウム、ネロリ、ラベンダー、ローズ、ローズマリーなどと好相性です。
希少で高価な精油ですが香りも強いので、少量をブレンドすれば十分です。3%などに希釈された精油でも十分に香りが立ちます。
主な成分・効能
ゲラニアール(~25%)、ネラール、シトロネラール、β-カリオフィレン、ゲルマクレンD、カリオフィレンオキシド、リナロール、ゲラニオール、オシメン、酢酸ネリル、酢酸ゲラニル、シトロネロールなど
血圧降下、抗ウィルス、抗炎症、抗真菌、抗ヒスタミン、子宮強壮、消化促進、神経強壮、鎮静、鎮痛鎮痙、皮膚炎、ヘルペス、湿疹、アレルギー、花粉症、月経障害、アンチエイジング、くすみ、不眠、抗うつ、不安、緊張
アルデヒド類による花粉症・蕁麻疹などの抗アレルギー作用
アルデヒド類の割合が高いため、1%まで希釈して使用すると優れた抗アレルギー効果を示します。花粉症には吸入のブレンドに、じん麻疹や皮膚炎には1~2滴を冷湿布か軟膏に入れて用います。口唇ヘルペスや帯状疱疹にも使えます。
ストレスには
心身相関的な症状やストレス性の不調の改善にも有効で、キャリアオイルに混ぜてマッサージしたり、バスオイルとして使用するのがおすすめです。
メリッサ精油の作用・注意点
心への作用
強い鎮静作用
強い鎮静作用があり、ショックやパニックなどの症状をやわらげます。
心の緊張をほぐし、不眠を改善する高価も期待できます。
高揚作用も
鎮静と同時に高揚させる作用もあります。喪失感や落ち込みを癒し、明るさやポジティブさをもたらします。
体への作用
- 内蔵の強化
- 強心作用
- 子宮強壮作用
- 体を落ち着ける作用
- 血圧降下作用
- 鎮静作用
- 解熱作用
- 痛みの緩和
- 消化器系への作用
- 消化不良
- 吐き気
- 腸内ガスの改善
- 下痢の改善
肌への作用
- 抗菌作用
- 抗炎症作用
- しっしんの治りを促す
- 皮膚のかゆみを抑える
注意点
- 皮膚への刺激
- 敏感肌の人は特に注意しましょう。
- 低濃度(1%以下)程度の使用がおすすめです。
- 妊娠中・授乳中は使用を避けましょう。
メリッサ精油のおすすめ活用方法
- マッサージオイルとして
- 芳香浴に
- バスオイルとして