もくじ
ミルラの歴史・くらしとの関わり
古代エジプトの儀式などに活用
ミルラは樹脂から採れる精油ですが、原料の樹脂はその強い防腐作用から古代エジプトではミイラづくりに使用されていました。ミイラの語源がこの「ミルラ」であったとも言われています。
また太陽崇拝という毎日正午に行われる儀式で焚かれており、エジプト人にとって関わりの深い、神聖な樹脂だったようです。
聖書にも登場
またミルラは、聖書でも重要な役割を果たしています。「没薬(もつやく)」とも呼ばれるミルラは、イエス・キリストの誕生時に供えられ、「偉大な医者」の象徴とされています。十字架にかけられて処刑される際には鎮痛のためにミルラ入のワインがキリストに渡されました。
このほかにも、古代ギリシャではミルラの消毒作用を期待して戦場にミルラを持参していったという話もあります。
ミルラ精油の特徴
ムスクにも似た独特の香り
ムスクとはジャコウジカの香嚢(コウノウ)と呼ばれる器官を原料にした、動物性の天然香料です。ジャコウジカのオスがメスを呼び寄せるフェロモンや、縄張りを示すためのものを香料として利用しています。現在ではムスクはワシントン条例により取引が禁止されているため、天然のムスクは流通していません。このムスクと似た香りがするのがミルラの特徴です。
樹脂系の精油は静かに鼻を抜けていくような香りが特徴のものが多いですが、ミルラはその中にも少しスモーキーなような甘さが感じられます。
植物の特徴
ミルラの原料となる植物は、香りのある葉と白い花をつける、3~5mほどの低木です。この木の樹脂を蒸留して精油にします。
ミルラ精油の基本情報
精油データ
名前 | ミルラ、マー、没薬(もつやく) |
学名 | Commiphora myrrha, Commiphora abyssinica |
科名 | カンラン科 |
おもな産地 | エジプト、エチオピア、エリトリア、ソマリア、モロッコ、アラビア半島西部とソマリランドのみを産地とする |
抽出方法 | 水蒸気蒸留法 |
抽出部位 | 樹脂 |
精油の色 | 黄色 |
香りの系統 | バルサム系(樹脂系) |
ノート(揮発度) | ベースノート |
香りの強さ | 中~強 |
香りの特徴・ブレンド相性
香りの特徴
スモーキーなバルサム調の香りです。ほのかにムスク(麝香)のニュアンスを感じます。
相性の良い精油
クローブ、サンダルウッド、パチュリ、フランキンセンス、ベンゾイン、ラベンダーなど。
主な成分
α-ピネン、オイゲノール、リモネン、カジネン、シンナミックアルデヒド、クミンアルデヒド、クルゼレン、β-エレメン、ゲルマクレンB、ゲルマクレンD
ミルラ精油の作用・注意点
心への作用
無気力な状態を脱する
心を鼓舞してくれる作用があります。悲しみや憂鬱感を和らげ、行動する意欲をもたらしてくれます。
脳に染み渡るような香りは、考えすぎて縮こまった心をゆったりと開放してくれます。
体への作用
- 呼吸器系の悩みの改善
肌への作用
- 傷口の消毒作用
- 水虫の改善
- 抗酸化作用による老化防止
注意点
- 妊娠中・授乳中は使用を避ける
- 強い通経作用があるた使用しないようにしましょう
ミルラ精油のおすすめ活用方法
- マッサージオイルとして
- 瞑想時にルームフレグランスとして